
「週刊新潮」が報じたスキャンダル戦後史
「週刊新潮」編集部
新潮文庫
週刊誌のスクープ
「もはや戦後ではない」
経済白書はそう記しています。週刊新潮が創刊されたのは、昭和三一年──。経済成長を駆け上がろうとする、まさにそんな時代でした。
週刊新潮は、政財界のスキャンダルから芸能ゴシップまで数々の事件を追ってきた、いわば老舗週刊誌です。その新潮の特集記事を一冊の文庫にしたのがこの本で、

ピンクレディ創立資金にかかわった大物総会屋
前総理大臣・田中角栄の逮捕
ホテル・ニュージャパン大火災
美智子さま、栄光と孤独の正田家外務省機密文書漏洩事件
三島由紀夫、衝撃的な自刃
など、目をひく大事件が並んでいます。
報道と文学
世間を揺るがせた大事件に興味を奪われる一方、とても残念なのは、週刊誌の記事ということもあって、事件の前後の関係が明確にならないことです。リアルに発信された情報ではないので、どうしても前後の関係がつかみずらく、そういう意味では本当のおもしろさというのはわからないのかもしれません。
そうはいいつつ、ただならぬ雰囲気は読むだけで伝わってきます。これがすべて実際におこった事件だというのですから、その恐ろしいたるや凄まじい限りです。
なんといってもリアリティが半端ではありません。実際に起こった事件でそれを取材して書いてますから、事件が発する異常なエネルギーとそれを書いた人のエネルギーがあいまって、紙面からビシビシと熱が伝わってくるようです。

「文学なんて超えてるんだよ」
これはあとがきに綴られているツワモノ記者のひとことです。週刊誌の特質は、まさにこの一言に凝縮されています。
人間が巻きおこした事件。そのときなにがおこったのか。理由ともいえないような心の闇を含め、人間の本質に迫ろうとする週刊誌は、ときには文学にはなし得ないほどの勢いをもって迫ります。
通俗を旨とする週刊誌が、人間の本質に一番近いところにいるのは、ある意味、皮肉だなとおもいます。