小説 書評

友達以上探偵未満

友達以上探偵未満
麻耶雄嵩
角川書店

高校の放送部に所属する二人の女子高生が、中途半端な推理をくりひろげていくお話しです。ズバッと解決せずにおわるミステリィ──いやこれはもう、ミステリィ未満かな。

主人公のひとり伊賀ももが、どうして自分が探偵を志したかを語る場面があって、それを読むと、小説でしか成立しない探偵という存在を
じっさいに目指したらこんな悲しいことになるというのがひしひしと感じられます。

”とはいえ奇人変人扱いされるのは厭だ。欲しいのは尊敬であって、哀れみではない。仕方がないので、今は胸の中に秘め、名探偵になったとき、みなを驚かせてやろう。
やがてももは、人前で夢を口にすることがなくなっていた。”

ここのくだりを読んで、ああそうかと気づきました。探偵って、あわれな存在なんですね。

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