「イーハトーブ探偵」
鏑木蓮
光文社文庫
探偵宮澤賢治が、花巻近辺でおきた事件を解きあかす本格推理小説。童話色がつよい宮澤賢治のイメージをみごとに払拭し、ちゃんとミステリィに仕立てているあたりに、つよいこだわりを感じます。物語では、宮澤賢治が御手洗潔ばりの奇矯な行動をおこし、周囲をあ然とさせます。フィクションとはいえ、そういう賢治の姿はとてもチャーミングです。茶目っ気たっぷりというか。無垢というか。
■賢治がみた原風景
この本には、花巻や小岩井農場、大沢温泉や、当時の生活様式、方言がふんだんに出てきます。なので、小説をよむと、宮澤賢治が生活していた環境がわかります。当時の生活風景がみれるという意味ではレアな一冊ではないでしょうか。