
現代思想の冒険
竹田青嗣
ちくま学芸文庫
難解な哲学書を一般向けに噛みくだいてわかりやすく解説している。この本に出会ってなかったら、ここまで哲学の本に手を出していない。

社会契約論
重田園江
ちくま新書
フーコーの研究者らしく系譜を重視して書かれている。社会と哲学がどのように関わって発展してきたか、これを読むとそのことを理解できる。

寝ながら学べる構造主義
内田樹
文春新書
構造主義から現代思想までをわかりやすく解説している。哲学者もさることながら、内田樹の平易なことばは魅力的。

キリスト教は邪教です!
F・W・ニーチェ
適菜収訳
講談社+α新書
ニーチェのアンチキリストを過剰に演出したような作りになっている。ただ大ニーチェがこの本を介してながめると、たんなるこじらせ人間にしか見えないっていう、このギャップがたまらない。

意識
スーザン・ブラックモア
岩波書店
心理学の本だが、この本を読むと哲学における主観─客観の問題やフッサールの志向性が理解しやすい。意識についてかんがえることは、人間のあたまのなかで考えていることの振れ幅を広げる。そしていろんなことを考えることの大切さは、多様性を基調とする社会ニーズにと合致する。

暇と退屈の倫理学
國分功一郎
朝日出版社
かつて労働者は労働によって賃金を得て残りの時間を余暇にあてることで、自己の満足度を図ろうとした。賃金と余暇のバンランスによって労働力を供給量が決定されるモデルだ。労働者のパフォーマンスを最大化するのに余暇が必要とされていたが、それがいつのまにか余暇が退屈を生み、退屈によって消費が拡大されるに至る。余暇がふえれば満足するはずだったのに、余暇ふえることである種の不幸がふえている。到達すべき場所に到達したのに、だれもその状態を望んでいない。この大いなる矛盾をどう考えるべきか。この点、暇と退屈の倫理学は「満たされない」の根源について、真正面から挑んでいる。