文脈でよむ

館にいたる病

斜め屋敷の犯罪
島田荘司
講談社文庫

オホーツク海を見下ろす高台のうえに風変わりな建物があり、最初から傾けてたてられたその建物は斜め屋敷とよばれていた。斜め屋敷を舞台にひとつの犯罪がおこなわれる。トリックと建物が密接な関係にあるのが特徴だ。島田荘司の発想は大胆ではあるが、その一方でとても稚気にあふれている。

眼球堂の殺人
周木律
講談社ノベルス

未解決問題を証明した数学者の十和田は、ジャーナリストの陸奥とともに眼球堂にむかっていた。山のなかに行くと、白い大理石の器のなかに漆黒の建物が佇んでおり、この建物は世界的な建築学者驫木煬が設計したものだった。異様な建物に各界の才人がつどい、次々と殺人事件がおこる。ミステリィとしては王道ながら、やはりトリックの特異点は建物の構造につきる。にしても、これを眼球に見立てるのはかなりのハイセンス。

キマイラの新しい城
殊能将之
講談社ノベルス

名探偵石動戯作は、とあるテーマパークに招かれる。そこに中世ヨーロッパを模したシメール城があり、石動は七五○年前の殺人事件の犯人をさがすよう依頼される。

昭和の最中、大阪城の調査をしていたときじつは太閤秀吉が建造した大阪城は地下に埋まっていて、地上に見えている建造物は徳川の世になってから作られたものだったと判明する。おおげさにいえば、いままで見てきた大阪城は紛いもののというのがわかった。いま見ている建物がじつはまったくべつもの。そんな話が現実にはありうる。だとすれば、古城を使ったこのトリックもあり得なくはない。

エンデンジャード・トリック
門前 典之
南雲堂

日本の様式美あふれる旅館で密室殺人がおきる。状況をながめると、アリバイは鉄板で崩れそうにない。しかし屋敷の横にキューブハウスが建っていて、現代建築のキューブハウスがトリックの鍵をにぎっている。キューブハウスをパスワードにして謎を解くと、ふたつの殺人事件がいとも簡単に解凍されのがおもしろい。

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