小説以外のもの 書評

響きの科学│ジョン・パウエル

「響きの科学」
ジョン・パウエル
小野木明恵訳

難解な書物でした。音楽を空気の振動──波ととらえ科学的に解きあかそうというもので、音と雑音、楽器の話、バイオリンが十台あっても音量は十倍にならないといった話がつづきます。そこまではなんとかついていけたものの、和声不協和音あたりからは、なんのことかさっぱり理解不能わからなくなります。音楽をこうやって分類できる人がいるって、すごいなと。そんな感想くらいしかもてませんでした。

どうでもいいのですが。
この作者は謎めいた音理論を詳細にかたる傍ら、ときおり、軽妙なジョークをおり混ぜて話します。本人は気を利かせているつもりなんでしょうけど、こちらとしてはなにがジョークでなにが本論なのかわからないのでよけいに戸惑います。真剣によんでたらジョークだったということが、しばしばありました。

■音は数値化に不向き?

唯一印象にのこっているのはデシベルです。デシベルは音量の単位ですが、これがなかなかやっかいで、

”小さな範囲の数字で表せる計測方法を探す過程で、二〇世紀前半に、誰かが賢いアイデアを思いついた。それは、先ほどの表の「相対的な音の強度」の値において、「1」の後のゼロの数を測定尺度の基本とするものである。これが「ベル」尺度であり、これに従えば、強度1,000は3ベルとなり、強度1,000,000は6ベルとなる。”

”最終的には、音の大きさを測る数値が一二〇個あればかなり役に立つだろうから、ベル方式のすべての数値に一〇を掛けて、「ベルの一〇分の一」すなわち「デシ-ベル」(db)で音を測ることになった。したがって現在では、音の強度1,000が30デシベルに等しく、強度1,000,000が60デシベルに等しくなるという方式を用いている(ゼロの数を数えてそれに10を掛ける。)”

”一見すると単純きわまりなりように思えるが、20デシベルは10デシベルの二倍だが(見ればすぐにわかる)90デシベルが80デシベルの二倍でもあるのだ(そんなばかなと思われるかもしれないが、本当だ。次頁の表を見てほしい)。ここで、わたしはこのデシベル方式というものが大嫌いだと白状しておかなくてはならない。”

──ね? なにいってるか全然わからないでしょ。

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