新編 銀河鉄道の夜
宮沢賢治著
新潮文庫
河鉄道の夜が、お母さんのために牛乳をもらいにいく話だったとは、これを読むまで知りませんでした。たかが牛乳のために銀河鉄道にのるだなんて、なんて雄大なスケールでしょう。
銀河鉄道のモデルは、岩手軽便鉄道にあります。
岩手軽便鉄道とは、東北山中の花巻と三陸海岸の釜石をむすんだ鉄道で、現在のJR釜石線にあたります。じっさい、賢治もこの鉄道をつかって、よく釜石をおとずれたようです。
■電車にのってどこまでも
なので、銀河鉄道を岩手軽便鉄道に置きかえると、すこし状況がみえるような気がします。想像をたくましくするなら、賢治は岩手軽便鉄道にのって、何度か牛乳をもらいにいったのかもしれません。そう考えると宇宙におもいを馳せがちな銀河鉄道も、わりと近所の題材なんだなと身近に感じます。
銀河鉄道といえば童話のイメージですが、花巻なり、生活環境だったり、賢治がもっていた科学の知識を知ると、また作品の見方がちがってきます。背景をさぐりながら物語をよむというのも、おもしろいアプローチかもしれません。