小説以外のもの 書評

バーナード嬢曰く┃施川ユウキ

「バーナード嬢曰く」
施川ユウキ
一迅社

本好きのマニアックなあるあるネタを繰りだすショートギャグマンガです。なかでも、神林しおりのSFツッコミは、細かすぎて誰にも伝わりません。じつにシュール。じつに秀逸です。

”スター・ジョンの「死ね、名演奏家、死ね」は「マエストロを殺せ」なんていう味も素っ気もないタイトルに変えられた”
とか

”ヴォネガットの「スローターハウス5」は、昔「屠殺場5号」だったんだ。日本語のほうがわかりやすくね?”
とか

”ジュール・ヴェルヌの「海底二万里」が、「海底二万里」だったり「海底二万マイル」だったり「海底二万リーグ」だったり”

など、もはや誰むけの発言なのかよくわかりません。が、とにかく無意味なうんちくが満載です。しかも、それが怒涛のラッシュとなって繰りだされます。もう、たまりません。

■読書好きは屈折のかたまり

好きだからつっこまずにはいられない。でも、迂闊に他人から批判されるのは我慢ならない。

このマンガは、読書好きの屈折した気持ちをよくあらわしています。こういった鬱屈した気持ちを、ストレートに表現しているので笑えます。ああ、そこいっちゃうんだみたいな。薄っすらした笑いのなかに、読書好き特有の恥じらいがあって、個人的にそこがツボでした。

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