小説 書評

ヴァラエティ│奥田英朗

「ヴァラエティ」
奥田英朗
講談社

いままで収録されなかった余りものを掻きあつめた短編集です。ヴァラエティ。多様性。なんでもあり。モノは云いようですね。

厳密にいうと短編だけでなく、ショートショート───奥田英朗のショートショートなんて珍しい───や対談も載っています。

興味をひいたのは、山田太一との対談です。奥田英朗はデビュー以来、「影響を受けたのは山田太一さん」といい、生粋の山田ファンであることを公言しています。
"山田さんおドラマの要素の中で、会話が、殊に本筋と離れているものが僕は何より好きなんです"

とか
"その資格のない人間までが生きがいなどと言い出す"

とか
"創作の意欲のもとはたぶん「違和感」だと思います"

など、微妙なこころの機微についてあますことなく語っています。
話がすすむにつれ、ふたりは見事に意気投合ししだいに会話がのってくるのですが、その様子は即興で奏でるジャズをみているようでたのしいです。ふたりの軽妙なやりとりは必見です。

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