小説 書評

屍人の時代│山田正紀

「屍人の時代」
山田正紀
ハルキ文庫

呪師霊太郎なる探偵が、千島列島の<吐裸羅島/とららしま>や北海道の航空基地にいって、怪事件を解きあかします。

昭和前期という時代設定なのに、「零戦の時代」では、航空兵と芸者の心中をめぐって、昭和二十年と平成六年をいったりきたりします。

過去と現在でストーリーが絡むところは、さながらタイムトラベルのような展開です。時代が移ろい、老人にちかい年齢になっているはずなのに、呪師霊太郎はわかいまま飄々としているのが、不思議な感じです。

探偵が、時空を超えた存在となり物語を導くところが斬新でした。

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