文脈でよむ

「そして誰もいなくなった」が読みたい!

「そして誰もいなくなった」
アガサ・クリスティ
清水俊二訳
早川書房

インディアン島に招待された客人たちが、一人またひとりと消えていきます。迫りくる連続殺人に、残された人たちは怯え身を寄せるのですが、ひょっとしたら身をよせたその人が犯人かもしれないという<恐怖/スリル>がたまりません。

アガサ・クリスティの不朽の名作です。プロットの運びがあまりに素晴らしすぎて、うっとりしちゃいます。

「ジェリーフィッシュは凍らない」
市川憂人
東京創元社

新型気嚢式浮遊艇・ジェリーフィッシュの航行試験中にトラブルが発生。ファイファー教授が毒殺されたのを皮切りに、一人またひとりと乗組員が死んでいきます。

たんなる舞台装置だけに留まらず、ジェリーフィッシュは最後のさいごまで活躍をみせます。最後の場面をよんでから「ジェリーフィッシュは凍らない」のタイトルをみると、そこにいろんな意味がふくまれているのがわかります。

「そして二人だけになった」
森博嗣
講談社ノベルス

世界最大の海峡大橋をささえる巨大な柱──アンカレイジ。そのアンカレイジのなかで、”誰もいなくなった”的な連続殺人がおこります。

論理性がたかくて大仕掛けなトリックが目を引く作品です。ネタを小出しにしがちな森博嗣にしてはめずらしいとおもいます。

「屍の命題」
門前典之
原書房

美島教授が自らの猟奇趣味を凝らしてつくった美島館で怪事件がおこります。
兜虫のシルエットをした巨大な生物が、白い蒸気をたちのぼらせ、雪のうえを這っていくという描写があるのですが、この謎が解き明かされたときの異様さといったら、もう!

アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」を凌駕しようとした本格推理の野心作です。

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