小説以外のもの 書評

龍宮城 歌舞伎町マフィア最新ファイル│小野登志郎

『龍宮城 歌舞伎町マフィア最新ファイル』
小野登志郎
太田出版

歌舞伎町にはびこる中国人マフィアグループ「怒羅権」。警察ですら実態を把握していないという闇の深さは、歌舞伎町アンダーグランドの象徴といえます。まさに混沌といった感じでしょうか。
中華食堂、フーゾク嬢、元ヤクザから怒羅権へ転職した若者や怒羅権の赤羽支部の様子が綴られるわけですが、内容がさしておもしろくありません。 歌舞伎町というというきわめて刺激的な世界観なのに、なんでこんなにもおもしろくないんだろう?と思いながら読んでました。どうやらおもしろくない理由は、ルポタージュとストーリーのちがいのように思えます。

 ルポタージュ

ルポは、取材について体験的に書く形式なのかなと。ちょっともどかしいのは取材にせまる過程で取材でおわっているとこ。最終的な結論、ものの見方、考え方が読んでて入りこんでこないのです。最終的に腑に落ちない。おもしろくない要因は、どうやらそのあたりにありそうです。

キャラがあってエピソードがあって、ストーリーが広がる。ストーリーという時系列が与えられないなかで、世界観と取材だけではおもしろさが成り立たないのではないか。キャラ‐ストーリー-世界観の相互作用があってはじめて読み物としてのおもしろさがでてくるのではないか、とおもったりしました。 

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