小説以外のもの 書評

日露戦争 勝利のあとの誤算│黒岩比佐子

『日露戦争 勝利のあとの誤算』
黒岩比佐子
文藝春秋

日露講話条約後におきた日比谷焼き討ち事件を、ひとつひとつ掘り下げていった感じです。日露戦争は国民に無理に無理を重ね、ぎりぎりのうちに判定勝ちを拾ったハイリスク&ローリターンの自衛戦争ですが、その日露戦争の矛盾が吹き出したのが日比谷焼打ち事件です。

ニコポン宰相と呼ばれた桂太郎や、桂の愛人だったお鯉だったり、日比谷焼き討ち事件のときたまたま歌舞伎を見にきていて騒動に巻きこまれた小泉又次郎(小泉純一郎の祖父)、はたまた内田良平が黒龍会の猛者を率いて突進する様など、当時の様子が丁寧に描かれています。

事件背景をゆっくりと掘り下げすすむため、「坂の上の雲」の後日譚に最適です。

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