本棚のこと

新しい本を買うための本棚は必要か?

本棚の目的

本来、本棚の目的は、収納と検索にあるとおもう。記憶を蓄積しかつ必要なときに情報を取りだしやすくする整理箱が本棚だ。それゆえ本棚は多くの本を蔵する必要があるし、すぐに取り出せるようにある程度まとまりが求められる。
いわゆるカテゴリーというやつだ。

まとまりが必要なため本棚は、作者別やジャンル別に分類されることが多い。いい例が図書館の本棚で、誰にでもわかるようにカテゴリーが整理されている。しかし図書館の分類は「誰にでもわかる」整理になっているがゆえに難がある。

「誰にでもわかる」ようになっていていいじゃないか。みんなが使うのだからわかりやすいようになっているべきだ。ふつうはそう思うかもしれない。
しかし、これがいけない。
誰にでもわかるということは、その人しか知り得ない意味が失われているのと同じなのだ。つまりそこには文脈がない。意味が死んでいる。

新刊用本棚

そのむかし新刊用の本棚という使い方があるのを知って、ひどく驚いた記憶がある。

新刊用の本棚とは、これから読むための本を置いておくための本棚をいう。
買ったそばからこの本棚につっこんでいくので、これがあると、本屋にいって本を買うかどうか悩まなくなる。興味があれば、すぐに買うことができる。おもしろそうだな。ちょっといいかも。ジャケットきれいだな。買うときの理由はなんでもいい。わずかでも心にひっかかれば即買いし、新刊用の本棚にいれておけばいい。

思考転回

以前はほしい本があっても、まだ読んでない本があるからといってあきらめることが多かった。けっきょく積読でおわるなら、買わないほうがいい。そういう考え方になってしまう。
積読=悪いこととなり、本を買うかどうかの判断で、ある種の罪悪感が生じている。しかしこれは発想が貧困ではないだろうか。

新刊用の本棚をつくると、積読のストレスから解放される。買いたいものを即買いしストックしておけばいいのだから、なにも悩まなくていい。これによって本を書うときのストレスが格段に減った。ただし、そのぶんお金はかかるようになったけど。

ワクワク感

我が家の新刊本棚には、異なるジャンルの本が、雑然とならんでいる。意味があるようなないような、それでいて突然の断層があったりしておもしろい。

新刊用本棚は見ているだけでたのしい。たのしいというか、ワクワクする。
なにかが生まれそうな期待感があるのだ。たかが本棚なのに、である。
創造に混沌はつきものだが、本棚にもおなじことがいえるかもしれない。本はランダムにならべたほうが圧倒的におもしろくなる。

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