小説以外のもの 書評

日本の神話と十大昔話

『日本の神話と十大昔話』
楠山正雄
講談社学術文庫

あらすじ

「日本書記」「古事記」には神話といいつつ、決してオモテに出ることのない歴史が含まれています。それはまさしく歴史のもつ暗部で、呪いと怨念が渦巻くどろどろした世界です。

この本を手にとった理由は、
──神話に埋もれた歴史があるなら昔話にも歴史が隠されているのではないか。
と思ったからです。

神話と同じように、昔話にもオモテに出ることのない一族が隠されているのではないか。隠されているとしたなら、それはどんな人たちで、そのときどんな争いがあったのか。

歴史の暗部

たとえば桃太郎にでてくるキビ団子では、キビというのは吉備を指すのでしょうし、因幡の白うさぎでいうと、うさぎは宇佐美で、そのまま宇佐八幡を想起させます。菟沙津彦らの子孫である宇佐氏は、ワニをだまして日本にやってきた。ワニはそのまま和邇氏を指すのでしょう。
そういった背景が因幡の白うさぎにあるように思えます。

また、かの『猿かに合戦』なんかを古代一族のあいだでおこった争いとして考えるなら、さながら忠臣蔵のようにみえたりします。
昔話は意外と侮れません。 

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